ebekoです。


最近過去に書いた「誰が偉いのかややこしい」という話が、地味に読まれている。総裁選の影響か。
自民党の幹事長だの政調会長だのいるけど、結局誰が偉いんだと

まさか検索の上の方に上がってくると思わず、適当に書いてしまったので、重なる部分もあるが、改めて整理しておく(あくまで今回は自民党の場合として聞いてください)。


政治家用




まず結論から言うと、(政治家系の本を読み漁ってきた私が思うに)総理の座に一番近いのは基本的に幹事長だ。重要閣僚と言われる、財務大臣とか外務大臣よりも近い。

それは、総理(=自民党総裁)に代わって、党の運営を行う、No.2だから。



総理は忙しいので、党の細かいことまでやってる暇はない。なので党の仕事は幹事長がメインで動く。
いわば戦後の政治を担ってきた政党の「党内総理」のようなもの。

そんな党の統括が出来る存在なのだから、残りは国の統括でしょう、という流れになるわけ。
率直に言うと、幹事長は日本で2番目に偉い人


党の金も扱う(今はどうだか知らないが、銀行から党へ融資してもらう時、連帯保証人は幹事長というのが慣例だった)し、選挙も指揮する。影響力の大きさはハンパではないのだ。

ゆえに、「幹事長=重要閣僚2つ分」などと言われる。


とはいっても、「数年前に一度だけ務めました!」というだけだと、そりゃ影響力も知名度も落ちてくる。それもあるので石破さんは厳しいのではないかと思う訳(他の理由もあるけど)。





じゃあその次は、と言われると幹事長よりは明確には分からない。

ただ個人的には今も、財務大臣(大蔵大臣)が近いと思う。当たり前だけど自国の経済って重要だもの。今だったらG20のような経済会議もあるので、それに出せる存在ということだ。

一時期は「大臣ポスト2つor3つ分」と言われたことからも、存在の大きさがうかがえる。
民主党を見ても、菅直人と野田佳彦は財務大臣経験者だ。





財務大臣とほぼ同格だけど、最近は微妙に格下だと思うのが外務大臣
これまた重要な外交の担当だから、相応の人を置くことになる。といっても十分総裁選に出られるレベルのポスト。

自民党の党内抗争が激しかった時代は、有力者で以上の3ポストが争われた時代があった。





次にそれよりちょっと下がって、政調会長(政務調査会長)
党の政策とかを議論したりするところ。他にも野党との折衝も行うので、お金の管理仕事も絡む。

ここを経験すると「金の扱いもまあ大丈夫」となるらしい(田中角栄談)。
重要なポストだけに、なる人もそれなりに経験・実績がある人だ。


また調査会の中には多くの会があり、そこにドン(長年そこに所属するスペシャリスト)がいる場合もあるので、その人たちとの調整能力も養われる(と思う)。

ただ総理になるには、もうちょっとというイメージがある(重要閣僚の経験がない場合)。
ここから幹事長とかに出世してから総理に、って感じか。





そして最後に、残りの党三役である総務会長
政調会でまとめられた政策がまわってきて、全会一致でまとめる必要がある場所がここ。

「既にまとめられたものを改めて全会一致にする」という場のせいか、調整型の議員が会長になることが多い。そしてその二次的な役割のせいか、影響力はやや弱い。


正直なところ、総務会長から総理はまだ遠い位置にある。知名度も他の党三役、大臣に含めて高くはない。総務会長から幹事長に横滑りした二階さんは、なかなかに珍しいケースなのだ。





難しいのは官房長官。これはその人の務めた長さや、タイプにもよると思う。
ポストを経験したから、でなく菅官房長官自身が「総理も出来る」と見られてると考えたほうが良い。

非常に目立つポストだが、官房長官にも、「裏方タイプ」「腹心タイプ」「後継者タイプ」と色々ある。それが判断の難しさの原因になっている。

裏方タイプは表に出る役職になると案外活躍できなかったりするし、後継者タイプはあくまで経験を積ませるためという可能性があるからだ。



ただ、多忙の総理に代わっての官邸の実質的なトップではある(社長室長みたいな感じ?)。だから内閣のしくみ的には、「官房長官が国内のNo.2」という考え方もある。

なにせ「総理の女房役」と言われ、色々なところとパイプが出来るし、総理と共同で使える「官房機密費」という、使途不明の金もある(共同のサイフなんて言われ方もする)ので、そこは大きいと思う。



それでも総理候補にならない例があるのは、官僚とのパイプは出来るが、党内の仕事からは遠ざかるのが大きいと思う。ただし官房長官を務めた後、派閥の長や重要閣僚、党三役になる例も多い。

なので「官房長官=総理の2歩手前」くらいに考えると良いかもしれない。

菅官房長官の場合は、極めて長く務めあげたこととそれ以外の能力もあったので、直に総理候補となったと、念のため改めて書いておく。





というわけで、小泉旋風のような番狂わせがない限り、総理の座に近い順に並べると、


幹事長>財務大臣≧外務大臣>政調会長>総務会長=その他の大臣、党幹部


となる(官房長官はランダム)。もちろん色んなポストをやってたほうが良いのは言うまでもない。
言ってしまえば総理に近いほど影響力も大きいので、この順に偉いとも言える

ただ「その他の大臣」の中にも、利権が絡む省庁の大臣とそうでない省庁の大臣がいる。
前者の方が財力の面から出世しやすい……なんて話もあるのだが、今回は割愛。



ちなみに似たような役職で、「参議院幹事長」とか「参議院会長」という役職もあるが、戦後の政治で参議院議員が総理になった例はない。主要閣僚になった例もほぼない。戦後70年以上あったのに。

つまり参議院議員は表向きは偉くはならないのだ(青木幹雄や村上正邦のように「裏のドン」と呼ばれる人はいたものの例外)。意味は違うが、「衆議院の優越」という言葉にも表されている気がする。

基本的に偉くなれて総理を狙えるのは、あくまで衆議院議員なのである。





さて「副総裁とか副総理ってのも聞いたことあるんだけど、副って付くくらいだから、その人が近いんじゃないの?」という人もいるかもしれない。良い質問ですねえ

確かに名前の通り、No.2なのは間違いない。総理総裁の非常時に代理となるのがこの役職だからだ。
だいたい就くのも実力者や重鎮だし。



ただこの副総理とか副総裁というポストは、必ず置かなくてはいけないものではない
総理が置いたり置かなかったり自由に決められる。

ではどういう場合に使うのかというと、過去ほとんどが「ライバル・自分を脅かす実力者を封じ込める」ためである(あとは名誉職的な位置づけか、本当に参謀として必要だから)。


「閣外に出すとどう動くか分からない、監視下に置きたい……」という場合に、そのポストに置くことで、「仲良くしましょう」という圧力をかけるわけである。



といってもそのポストについた人は、なんとなく自分が何の理由でそこになったのかは分かる。他の大臣も兼ねずにそのポストだけにされたら、ほぼ封じ込め目的

で、そんな目的で置かれた時は当然「もしもの時は代理になってくれ」なんて思っちゃいない。


「副」の付く役職に就けることで、「メインにはなれない」とイメージを植え付けるか、目立ったことが出来ないうちに、徐々に知名度と力を削いでいくという狙いがある。あくまでも想像だけど。

小泉内閣で幹事長を務めていた山崎拓も、これで徐々に力を削がれていったのだ。
田中内閣の副総理、三木武夫。佐藤内閣の河野一郎。仲が良いどころかむしろ宿敵である。


つまり「副総理や副総裁は、総理に近そうだけど近くない」というのが、正解です。
年齢的にも、総理を務めるのは無理な人がここに付くこともありますんで。

実際に副総理や副総裁から総理になった例は、数えるほどしかありません。ただ本人が総理を狙わず「陰の実力者」として居座り続けた可能性も考えられますがね(金丸信とか)。



こんな感じで覚えておけば、あなたも「政界通」です。おめでとうございます。

でも本で読んだ通りにはいかないのが、政治の世界な気もする。
実際に国会議員の友達がいたら、全てはっきりと分かるんだけどなあ